2017年9月9日土曜日

FPSと国際人道法 赤十字国際委員会の取り組み

赤十字国際委員会の日本版アカウントが、このようなツイートをしているのを見かけました。

どうも赤十字国際委員会が、リアル系FPSとして名高い(そして味方に迷惑をかける気しかしないので手を出せていない)ARMAと組んだらしい。
そして、
> なお、このキャンペーンは1つの目的として、プレイヤーに対する「罰」や強制された勉強的な内容でない、プレイヤー自身がゲーム上で取った行動の結果を通じて、国際人道法に対する理解を深めるという、ユニークな試みにも挑戦しています。

とある。興味深い試みです。

どうも、赤十字国際委員会はFPSに対してかなりの問題意識を抱いているようなのです。
以下のリンク先をご覧頂ければ、赤十字国際委員会の危機感をうかがえるかと存じます。

戦争のリアリティーを追求したゲームに関するQ&A
http://jp.icrc.org/2013/10/29/291013qa/ 

国際人道法というフィルターを通して見ると、確かにお行儀の良くない描写を含んだFPSも少なくないです。

例えばCoD4シングルのカレド・アル=アサド束縛ミッション。
アサドを捕らえた後、プライス大尉はアサドをボコボコに殴った挙句 (もう会いたくない…)、射殺してしまいますよね。

CoD4シングルのストーリー上当然の流れなのですが、プライス大尉のそれは捕虜の人道的待遇を定めた国際人道法上の観点では問題のある行為だと言うことができます。

CoD:MW2は空港で民間人を大量虐殺する場面から始まりますし、CoD:BOは拷問を受けている主人公の回想という形でストーリーが進みます。いずれも法的には問題を抱えた描写と言えます。

赤十字国際委員会が危機感を覚えるのもある意味当然のことなのかもしれません。
(意外にも、一見残虐に見えるCoD4のAC-130ミッションでは国際人道法をきちんと守っています。民間車両や礼拝施設たる教会といった法的に保護対象となるものは攻撃対象から外されているのです)

 そして、こうしたゲームそのものを禁止すべく動くのではなく、むしろゲーマーや制作企業を取り込んで国際人道法に対する意識を高めようとしている赤十字国際委員会の姿勢は、大いに評価されるべきでしょう。

ゲームの広報効果は、例えば米陸軍がAmerica'sArmy(https://www.americasarmy.com/) を製作したように、高いものと見ることができます。今回製作されたArma3のDLC「Laws of War」も、国際人道法への意識啓発に大いに役立ってくれるのではないでしょうか。

他タイトルにもなんらかの形で、こうした動きが波及するといいなと感じる次第です。
CoDやBFのシングルミッションなど、こうした要素を組み込める余地があると思います。

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