2017年1月26日木曜日

トランプ シリア「安全地帯設置」発言とトルコ

トランプ大統領の対シリア政策は、就任後一週間が経過しても今なおよくわからない部分がありますが、興味深い発言が出ました。以下、ロイターの記事をご覧ください。

トランプ氏、シリアへの「安全地帯」設置の意向表明
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-syria-safezone-idJPKBN15A0PB 
(引用開始)
 トランプ米大統領は25日、避難民のための「安全地帯をシリアに必ず設置する」意向を示した。米ABCニュースのインタビューで述べた。詳細は明らかにしなかった。
(引用終了)

この「安全地帯」の設置ですが、既に行っている国があります。トルコです。

トルコが「安全地帯」を設置する構想を明らかにしたのは、2015年7月26日の事です。
以下、日経新聞のサイトより共同通信の記事をご覧ください。

 トルコ、シリア北部に「安全地帯」 米も設置合意か
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM26H0Y_W5A720C1FF8000/
(引用開始)
 トルコのチャブシオール外相は26日までに、同国と国境を接するシリア北部に過激派組織「イスラム国」(IS)を排除した「安全地帯」を設置する構想を明らかにした。シリア軍機の飛行も禁止する計画とされ、実現すれば同国の事実上の分割に拍車が掛かりそうだ。
トルコ英字紙ヒュリエト・デーリー・ニューズは、同地帯はシリア北部アレッポ県のマルアからジャラブルスにかけての東西約90キロ、幅40~50キロで、トルコと米国が設置に合意したと報じた。同地域は主にISが支配している。
 チャブシオール氏は25日の記者会見で米国との合意成立は確認しなかったが、「ISとの戦いがうまくいけば同組織を排除した場所が自動的に安全地帯となり、避難民を収容できる」と述べた。
(引用終了)

そして2016年8月24日、トルコはシリア領内に対し地上部隊による侵攻を開始しました。この事は、中東調査会の「中東かわら版」より確認できます。

№86 シリア:トルコ軍の侵攻後の軍事情勢
https://www.meij.or.jp/kawara/2016_086.html 

今思うに、2015~2016年の間に、米国・トルコ間(オバマ政権・エルドアン政権間)で「安全地帯」設置の合意はできていたのでしょうね。

そして、ISISを排除してできた「安全地帯」には、シリア難民が帰還を果たしています。以下、BS1「国際報道2017」(放送当時は国際報道2016でしたが)の特集ページをご覧ください。

2016年11月11日(金) シリア難民帰郷・トルコの思惑は
http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2016/11/1111.html
記事をご覧になれば、実際に難民が帰還を果たしていること、クルド対策の意味合いも含まれる事、国際社会も黙認している事がお分かりになるかと存じます。

冒頭で述べたように、トランプ政権の対シリア政策は未知数です。ひょっとすると、アサド政権存続容認といった大幅な路線変更を行うのかもしれません。
しかしながら、少なくともシリアの「安全地帯」に関してはオバマ政権の路線を継承する形になるのではないか、との印象を抱いています。



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