2017年2月1日水曜日

アウン・サン・スーチー氏は良き民主活動家であった、しかし良き政治家でもあって欲しい

以前、模擬国連的なイベントにミャンマーの外相役として参加したことがあります。当然、ミャンマー北部の少数民族や西部のイスラーム教徒ロヒンギャの扱いが気にかかるわけですが、イベント内ではミャンマーの治安維持と経済発展を優先し、彼らに武力弾圧を続行する決断を下しました。それでも米国や欧州、イスラーム諸国役の参加者から特に批難されることはなく、むしろ日米韓中から投資を呼び込むことに成功しました。

しかし、これはあくまでイベントであるからこそ。現実世界では決してそうはいきません。ミャンマーの苦悩を、以下BS1「国際報道2017」の特集サイトよりご覧ください。

 スー・チー氏のミャンマーはどこへ~少数民族問題で深まる葛藤~
http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2017/01/0131.html
私が参加した模擬国連的なイベントとは異なり、国際社会、とりわけイスラーム諸国であるインドネシア・マレーシアから大きな非難がなされています。
 また、ウォール・ストリート・ジャーナルの社説( http://jp.wsj.com/articles/SB11677208751388613819604582508040740054480 )においては、ロヒンギャに対するミャンマー政府の姿勢が、グローバル・ジハードに発展しかねない可能性に言及しています。

本日2017年2月1日のスーチー氏の議会演説は重要かと思われますので、明日の朝刊ででもチェックしたいと思います。
少数民族とロヒンギャへの善処無しに、今後のミャンマーの発展はあり得ないでしょう。 

(追記)
ロヒンギャに関しては宗教対立の側面が存在するのは明白ですが、少数民族カチン族に関しても宗教対立的な側面が含まれている事がわかりました。

こちらの岡崎研究所の論考をご覧ください。

カチン族の反乱  ミャンマー社会の分裂の深さ(2013年5月9日付)
(引用開始)
 ミャンマーでは公立学校でカチン語を使うことが禁じられており、カチン族の怒りを買っているが、カチン地域では教会でカチン語を教えている。
(中略)
  他の多くの少数民族同様、カチン族とビルマ族は共通点が少ない。言語は異なり、カチン族の宗教はキリスト教である。ビルマ族は平地に、カチン族は山岳地帯に住んでいる。英国の植民地時代、ビルマ族地域は大英帝国に統合されたが、カチン地域での英国の統治は緩いものであった。カチン族のさる知識人によれば、カチン族は仏教国でのキリスト教徒として迫害を受けてきたとの感を強く持っている。この知識人は「我々は背景、文化が異なり、相容れない。カチン族は独立しなければ、飲み込まれてしまう」と言った。
(引用終了) 

さきに紹介したBS1「国際報道2017」の特集サイトにもこうした記述があります。
(引用開始)
去年(2016年)11月、カチン族など4つの少数民族の武装グループが中国との国境の検問所などを襲撃。
戦闘により、ミャンマー経済の大動脈ともいえる中国へと向かう道路が一時、完全に閉鎖されました。
(引用終了)

ロヒンギャ同様、カチン族もまた宗教対立的な危機感を抱き、一部で武力による抵抗を行っている可能性は高いと思います。

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