2017年1月24日火曜日

英国のSLBM発射試験失敗と隠蔽疑惑

英国は現在、核抑止力を潜水艦発射型弾道ミサイルのみに依存しています。具体的には、4隻のヴァンガード級戦略原子力潜水艦に搭載されたトライデントD5ミサイルによってです。
そのような唯一の核抑止力であるミサイルが発射試験に失敗した事が判明し、信頼性に傷が付く事態となっています。

以下AFP記事に詳細が記述されています。

英政府が核ミサイル試験失敗を隠ぺいか、計画更新の採決直前

まず、発射試験そのものの失敗の有無ですが、CNNの報道によれば、米側も認めているとの事でして、試験が失敗に終わった事は疑いようのないものと思われます。

 US official confirms Trident missile failure

さきのAFPの記事を見てみると、
(引用開始)
テリーザ・メイ(Theresa May)首相は、試験失敗について知っていたかどうか英BBCのインタビューで問われ、明言を避けた。
メイ氏は試験実施時にはまだ首相ではなかったが、7月19日に下院で更新計画が採決にかけられる直前に首相に就任し、老朽化したトライデント搭載潜水艦を新型と交換する必要性を議会で強く主張。計画更新費用として410億ポンド(約5兆8000億円)の予算承認を勝ち取っている。
(引用終了)
との事でして、試験結果の失敗を知っていた上で議会において核抑止力の更新の予算承認を勝ち取ったのであれば「隠蔽」であり問題でしょうし、失敗を知らなかったのであれば今度は首相と軍との連携、あるいは首相交代時の引継ぎがうまくいっていない事を意味し、これまた問題かと愚考します。

孤立主義的な傾向の強いであろうトランプ政権の誕生により、近い未来に英国が独自の核抑止力を手放す事態には至らないかと思われます。しかしながら、Brexitを推進する立場のメイ首相の立場も傷付けかねないこの事態は、とりわけ欧州において大きな影響があるかと思われます。

この問題は露プロパガンダメディア「スプートニク」に話題を提供する事態になっており(私がこの事態を知った契機もスプートニクの記事でした)、この点でも頭が痛いです。

マスコミ:故障した英国の弾道ミサイルが米国の方向に飛んでいった
https://jp.sputniknews.com/incidents/201701223262987/ 

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