2017年2月7日火曜日

明日使えない北方領土・ソ連対日参戦トリビア

本日2月7日は「北方領土の日」。それに関連し、ソ連対日参戦に関する豆知識をご紹介しようと思います。

ソ連対日参戦が日ソ中立条約に違反したものであることはよく知られていますが、ソ連対日参戦前にソ連側が日ソ中立条約の破棄を通告していたことはあまり知られていないように思います。以下、詳細を述べます。

日ソ中立条約署名がなされたのは、1941年4月13日のことです。
この条約の有効期限は5年であり、条約を破棄する場合には期間満了の1年前に通告する義務がありました。

ソ連側が日ソ中立条約破棄を通告したのは1945年4月5日のことでした。つまり、条約の効力はその1年後の1946年4月5日までとなります。

ソ連の対日宣戦布告は1945年8月8日ですので、ソ連側が条約破棄を通告していようがしまいが条約違反であるという結果には違いありません。

また、日本がポツダム宣言を受諾し、更には戦艦ミズーリ艦上で降伏文書に調印したのちも、ソ連軍は対日軍事行動を継続していたのも問題です。これに関しては、占守島における日ソ間の戦闘がよく知られていますね。

そして、ソ連第2極東軍が、現在我が国が主張する千島列島の全て(占守島からウルップ島まで) を1945年8月18日〜31日の間で占拠しています。一方、北方4島を占拠したのはソ連第1極東軍です。ソ連第1極東軍は、1945年8月28〜9月5日にかけて、北方4島の占拠を行いました。降伏文書調印が調印された9月2日以降も、ソ連は軍事行動を継続していたわけです。

ロシア側の主張では、北方4島も千島列島に含まれるというわけですが、北方4島を占拠したのはソ連第1極東軍、我が国が主張する千島列島を占拠したのはソ連第2極東軍と、それぞれ占拠した軍組織が異なるのです。これは、北方4島が千島列島に含まれないことを示唆するものではないか?とも考えられるかと存じます。

そんな感じで、北方領土とソ連対日参戦に関する豆知識でした。

参考とし、かつ皆様にお勧めしたいのは以下の2つの資料です。
まずは外務省が発行している「 われらの北方領土 」、次に石郷岡健・黒岩幸子著「  北方領土の基礎知識 」です。後者は2016年11月15日に初版が発行されている為、最新の情報まで網羅されております。経営破綻に陥ってしまった東洋書店が発行していたユーラシアブックレットの増補改訂版であり、後継の東洋書店新社が発行しているのも嬉しいポイントです。この調子で、他のユーラシアブックレットも増補改訂版を出して頂ければ…と願うばかりです。

そして、かつて北方領土の日ネタでこんなツイートをしたのですが全く伸びませんでした。

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