米国がアフガンに作った真空にロシアが進出
英FTに対しコラムの寄稿を行なったアーメド・ラシッドはタリバン研究の第一人者と言え、「タリバン―イスラム原理主義の戦士たち」と評する大著の著者としても知られています。それを踏まえれば、このコラムも真剣に受け止める必要があるかと存じます。
こうしたロシアの動きに関して、当該記事では「コストのかからない対米牽制ではないか?」との旨の分析をしていますが、私は対ISISの意味合いが存在すると考えています。
現在、アフガニスタンには親米ではあるが脆弱であるアフガニスタン政府、タリバン、そしてISISに忠誠を誓った勢力の3つが存在し互いに敵対し合う、いわば三つ巴の様相を呈しています。この状況は、以下のニューズウィークの記事に見ることができます。
アフガニスタンを脅かすISISの戦線拡大
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2015/01/post-3525.php
ISISの中央アジアへの浸透を防ぐ為、ロシアは脆弱なアフガニスタン政府より、タリバンと接近する道を選んだのではないかと愚考します。
アフガニスタンの現状分析を行なった本としては、「タリバンの復活―火薬庫化するアフガニスタン」及び 「アフガン・対テロ戦争の研究――タリバンはなぜ復活したのか」が推奨できます。後者は2016年3月26日に発行されており、ISAF終了以降のアフガニスタンの情勢も反映されています。
(2017年2月10日追記)
アフガニスタンに駐留する米軍のトップであるニコルソン司令官が、米上院公聴会においてロシアとタリバンの接近に言及した旨です。公人が議会公聴会の場で証言した意味合いは極めて大きいと思います。
米軍司令官 アフガニスタンに数千人の兵力増強を
(引用開始)
また、ニコルソン司令官はロシアがタリバンに急接近し関係を強めていると指摘し、「ロシアの関与が現地の情勢を複雑にしている」と述べて、ロシアとタリバンの関係に強い警戒感を示しました。
(引用終了)
孤立主義的なトランプ政権が、軍の増派要請に応じるかは極めて不透明と言えます。
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