2017年2月6日月曜日

オーストラリアの安全保障政策に関する備忘録

一般的にオーストラリアはグレート・バリアリーフやエアーズ・ロックを代表とする豊かな自然を持ち、農業や鉱業といった一次産業が豊かで、日本の捕鯨に関しては少々批判的…といったイメージですが、安全保障面からも興味深い国です。

ベトナム戦争に参戦した世界最精鋭クラスの特殊部隊オーストラリアSASや、スキージャンプ甲板を有した強襲揚陸艦キャンベラ級の存在、日本の「そうりゅう」型が商戦に敗北を喫した潜水艦導入…と様々です。更には、ウランが採掘される国であるため、非核保有国ながら核拡散にも気を使わなくてはならない国でもあります。

そんなオーストラリアはいかなる安全保障政策を取っているのか?と疑問を抱いていたところ、フォロワーの方が興味深いツイートをなさっておりました。まずはそちらを許可を得た上で転載します。




まず、上記の西豪州日本人会のPDFですが、(少なくとも私の環境では)うまく閲覧できませんでしたので、改めてリンクを掲載しておきます。

https://www.wanihonjinkai.com/app/download/12918594288/4%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%A4%96%E4%BA%A4%EF%BC%8D%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E3%81%AE%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%9A%84%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC.pdf?t=1479447889


「東アジア戦略概観2016」のオーストラリアに関する章を見るに、アボット政権からターンブル政権に政権交替がなされても、南シナ海における中国の力による現状変更に批判的なスタンスを維持するなど、安心できる記述がなされております。かつて話題となった米海兵隊のオーストラリアへのローテーション配備に関する話題にも触れられていますし、米戦略爆撃機が度々オーストラリアに飛来し、訓練を行っているなど興味深い記述も。一方、AIIBへの加盟問題に象徴される日豪間の「チャイナ・ギャップ」に関する気がかりな記述もありますね。
「東アジア戦略概観2016」オーストラリア章の記述は今から見ると若干古く、オーストラリアがフランスDCNSの潜水艦を導入した事や、ターンブル政権下で新たな国防白書が制定された事には触れられていません。この為、情報のアップデートが必要ですが、これに最適なのが平成28年度国防白書です。

平成28年度防衛白書第2章第5節 オーストラリア
http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2016/pdf/28010205.pdf
潜水艦のDCNSからの導入や、ターンブル政権下で新たに制定された国防白書にも言及がなされています。一方、「チャイナ・ギャップ」には言及はなされていません。

冒頭で言及したウラン採掘国であるがゆえのオーストラリアの苦悩に関しては、2013年度日本軍縮学会を聴講した際に報告をうかがいました。該当報告のレジュメはネット上で公開されています。

豪州の国家安全保障における核不拡散規範のジレンマ:2000年代の中国、インドへのウラン輸出政策を巡って
 http://www.disarmament.jp/pdf/2013/takeda2013_1.pdf 

 結論として、まずは西豪日本人会の資料でオーストラリア外交を概観したのち、防衛白書にて最新の情勢を抑え、その上で東アジア戦略概観に挑戦するのが良いかと思われます。東アジア戦略概観は4月には最新号が公表されるようですから、それまで待つのも良いかもしれませんね。そして、核軍縮に興味のある方は日本軍縮学会のレジュメをご覧になってみてください。

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